第119章 彼の想い人

人が帰ったあと、南雲玲奈はようやく両親と一緒に玄関の鍵をかけ直し、家の中へ戻った。

南雲芳樹と妻は、怒りが収まらない。

南雲静佳に至っては、悔しさで胸の奥がきりきりと痛むほどだった。

玲奈は母に何かあってはと、背中をさすって落ち着かせながら、心の底で離婚の決意が波のように押し寄せるのを感じていた。

――もう……一日だって耐えられない。

正直、時々思ってしまう。香澄が、あの男の子じゃなければよかったのに、と。

そうじゃなければ、今日みたいな屈辱を味わわずに済んだのに――。

静佳がようやく呼吸を整えた頃、今度は涙が止まらなくなった。

娘も可哀想で、孫も可哀想で、胸が張り裂けそうだ...

ログインして続きを読む